にほんのうた in 日比谷公会堂♪ - クラシックを超えて･･･ ソプラノ歌手♪中村初惠 Soprano Singer

7月10日、とても気持ちよく晴れた土曜日の午後、
日比谷公会堂では「にほんのうたコンサート」が
開催されていました♪

左から出演者の斉田正子さん・私・神崎ゆう子さん・内藤彩加さん　

私が小学生の頃にテレビで見ていた歌のお姉さん、
ドラえもんなどのアニメソングでよく耳にしていた歌手の方、
学生のころに憧れたオペラ歌手の斉田正子さん・・・
大先輩の歌手の皆さま10名と、
歴史の深い由緒ある憧れのホール「日比谷公会堂」
で共演させていただきました。

私服なハーニャチカ＠日比谷公会堂♪　photo:Watanabe
photo:Watanabe

日比谷公会堂の楽屋口から中に入ると、
すぐに楽屋が♪・・・そして舞台もすぐ目の前に♪

楽屋入りすると同時に、
アンコールで歌う「夏の思い出」を
合唱団リトル・キャロルやアンサンブル・フロレスタン
の皆さまと共にリハーサル☆

そして、皆さまのリハーサルを聴きながら、
時々外の空気を吸いに日比谷公園をお散歩♪

日比谷公園の大きな大きな木をパチリ♪

日比谷公会堂の楽屋口を出て階段を下りてすぐにある
レトロな雰囲気の素敵なカフェ"ｱｰｶｲﾌﾞｶﾌｪ" ♪

私のソロリハーサルの番がやってきました。
ピアニストは小原孝さん。私が演奏させていただくのは
「お菓子と娘」／橋本國彦作曲
「くちなし」／　高田三郎作曲　。

ピアニスト：小原孝さんと私。リハーサル風景。

私の祖父母に近い位の年代の方々がよくご存じの音楽だそうだ。
ずいぶん前の時代に作られた曲なのに、華やかで可愛らしい音楽。
そしてキュートでおちゃめな歌詞が魅力の「お菓子と娘」。
お菓子大好きなパリ娘ちゃんのお菓子好きの様子が
短い曲の中にギュッとつめられて何だか可愛らしい。

　http://www.youtube.com/watch?v=AAZuQHBuLAQ
【リハーサル真っ最中の演奏風景をご覧下さい。「お菓子と娘」編♪】

お父さんを亡くした主人公が、
お父さんが植えた「くちなし」の花をみながら、
父親が語った言葉を思い出していく　―。
「・・・くちなしの実のように待ち焦がれつつ、
ひたすらに焦がれ生きよと、父は言う。今もどこかで父は言う。」
歌いながらホロっと涙してしまいそうな、切なくも暖かい優しい一曲。
伝えるはずの歌手本人が泣いてはならぬ!!! ...いつも自分に言い聞かせる。

　http://www.youtube.com/watch?v=Nbos0p8Tem4
【リハーサル真っ最中の演奏風景をご覧下さい。大好きな曲「くちなし」編♪】

リハーサルが終わると、本番に突入♪
日比谷公会堂は大勢のお客様でいっぱいだった。
当日は800人ものお客様がご来場下さったそうだ。
日比谷公会堂は、80周年を迎える。
とても味のある素敵な建物だ。
第2次世界大戦前から日比谷公園の木々と共に
日本の歴史を見守ってきたのだろう。
そして、たくさんの素晴らしいアーティストが
演奏し、何かを伝えてきたに違いない☆

そんな歴史の深いホールで演奏できることを、
演奏家としてとても光栄に感じた。
私を推薦して下さったフロレスタン㈱の佐藤浩士さんに感謝です☆

第1部では、合唱団とオーケストラ、たくさんの昭和の古き良き歌が
優しく散りばめられていた。
第2部では、日本歌曲を中心に、
ピアニスト小原孝さん作曲の加山雄三メドレーなどが
演奏され、華やかな雰囲気だった。

終演後、ロビーへ行き、お客様にご挨拶をした。
この日ほどにお目にかかったことのないお客様に出逢うのは
ロシアで演奏していた時以来だろう。
この日、私は一番の若造だったのにもかかわらず、
多くのお客様が「ありがとう」「とっても素敵でした♪」
「これから期待しています。頑張って！」とお声をかけて下さった。
正直に言うと・・・我ながら嬉しい驚きだった。励まされた。

4日後の7月14日、私は東京文化会館でのデビューリサイタルを
控えていた。音楽家の登竜門とも言われる東京文化会館での
ファーストリサイタル☆
・・・緊張と不安の毎日を過ごしていた。
この「にほんのうたコンサート」にご来場され、
私の歌を初めて聴いて下さったお客様が、
リピーターとなって、14日のリサイタルに何人もお越し下さった。
ご来場くださり、終演後に声をかけてくださった皆さま、
本当にありがとうございました♪

そして、嬉しかったことがもう一つ。
「 "くちなし"の歌で涙がでました。」
・・・そう言ってくれた男性がいた。
30代のその男性は、お父様を早くに亡くしたそうだ。
きっと悲しい記憶もあるだろうけれど、
私に幼いころの幸せな思い出を語ってくれるその目は、
本当に優しく暖かかった。
天国からその姿をみたお父様は、きっと微笑んでいるに違いない。
音楽を聴きながら、お父様のことを思い出してくれたのかな、
そう勝手に想像して「歌ってよかった」そう心から思う。

私の父はまだ健在だが、私はいつも今は亡き最愛の祖父を思いだす。
祖父の優しい眼差しや声が聴こえそうな気がする。
その思い出を無理にではなく、優しく思い出させてくれる
暖かいエネルギーが「くちなし」にはあるように思えて、
歌わずにはいられない。

私服なハーニャチカ＠日比谷公園の大きな木の下で♪
Photo:Watanabe

夏の午後、この日、太陽の下を歩きながら、私は幸運だと思った。
音楽家として舞台に立てること、
歴代の音楽家が演奏してきた場所で、
音楽家として同じ空間を感じることができたこと・・・。
様々な方に出逢い、音楽を通して心や人生に触れられること。
何より、私自身がこういう気持ちを経験できること。

舞台に立つことは、楽しいことばかりではない。
たくさんの人が応援してくれるけれど、
やはり、当然舞台は孤独との戦いでもある。
今までたくさんの喜びや感動、幸運に出逢えた。
同時に、様々なことを後回しにして進んできた様にも思う。

でも、こうして演奏したその日、誰か一人でも
私の歌を感じてくれたなら、きっと私は歌い続けるだろう。
金欠病にもめげずに!!!ネッ♪笑

　
　　フロレスタン㈱の佐藤浩士さん、
　　ピアニストの小原孝さん、
　　リサイタルの広報をして下さった桐生達夫さん、渡邊浩二さん、
　　楽屋で楽しいトークを聴かせて下さった素敵な共演者の皆さま、
　　ご来場下さった全てのお客様に感謝をこめまして・・・♪

　　　　　　　　　　　　　　Soprano♪中村初恵　
　

終演後の日比谷公会堂前にてパチリ♪