千年の森 ミューズフェスティバル
夏真っ盛りの8月2日(日)♪
新潟県十日町市の「千年の森ホール」にて、
ミューズフェスティバルが開催されました。
3年に一度開催されている「大地の芸術祭」にちなんだイベントとして
開催された初めての企画♪
<十日町市の公民館設置60周年>を記念してのこのイベントは、
新潟と東京・埼玉の音楽団体との交流を兼ねた音楽祭となり、
100名もの合唱団の皆様やオーケストラの演奏で華やかなものとなりました。
Photo:TatsuoKiryu
私は合唱曲でのソリストと共に、ハーフソロコンサートを開かせていただきました。
新潟でのソロコンサートは初めての経験となりました。
私は前日のリハーサルから参加させていただきました。
初めての街に降りて駅の改札をでる瞬間は、ドキドキしてしまいますね☆
団員の高橋さんが車で私をお出迎えしてくださいました。
車で走る十日町市。山並が広がり、田んぼが美しく広がっていました。
大きな信濃川には、豊な水が流れていました。
「信濃川のこの地域の水によって、東京の山手線の電気が流れているんですよ」
私がいつも乗っている山手線。
知らない内に、遠いと感じている街のお世話になっているなんて☆
東京や埼玉の合唱団の皆さまより少し早目にコンサート会場に到着すると、
会場の中はすでに舞台設営などの熱気に溢れていました。
指揮者の久保田洋先生、そしてステージマネージャや、会場のスタッフの方々、
地元の合唱団の方々、そして、今回のコンサートに関する様々なことを
素晴らしくサポートをして下さった久保田郁子さん(マエストロの奥様)が
ホールでお出迎え下さいました。
合唱団の皆さまが到着されて少し経つと、
私は束の間の合唱発声トレーナーをさせていただきました。
トレーナーは大好きなお仕事ですが、本番&リハーサル直前は
いつも以上に緊張感があり、不思議な感覚でした。
合唱団の方の中には、もちろんもちろん私より声楽歴が長い方もいらっしゃいますね☆
たとえ合唱であってもソロであっても、本当に歌を愛されて続けられている方々は、
私にとって歌心を私以上に知っている先輩なのです。
それでも私は指導をしなくてはなりません。笑
私が教えるのではなく、私が先生方からいただいてきた知識を
私なりに解釈してきた形にして伝える作業でしょうか♪
本番前にも発声指導ををさせていただく予定でしたが、
私はソロコンサートもあり、残念ながら今回はリハーサル前だけの
トレーナーとなりました。
私はリハーサル前に、皆さまにひとつだけお願いをしました。
「どの曲もたくさんの言葉があります。
けれど、その中で、何かひとつだけ伝えたいことを想って下さい。」
これは、私がいつも感じる課題でもある、とても大切なこと。
一曲の中に込められている本当に伝えたいことは、ひとつ。
詩には何かひとつ、伝えたいことが籠められていると、私は想っています。
その一つとは、時に一言で表せるような感情だったり、
時に言葉では言い表すのが困難な深い深いもので、
それを語るために言葉が選ばれているように、私は想っています。
練習を重ねたのち、本当に最終的な瞬間に来たとき、
「人の心を動かす音楽は、上手か下手か、ではなく、何を語りかけるかだ」
そう私は信じています。
言葉を大切に、音楽を大切に歌うことはもちろん大大大重要ですが、
ひとつ大切なことを想って歌うことで、合唱の皆さんの心は一つになり、
とても大きな想いとなり、音楽となってお客様に伝わる ・・・
中学高校、大学と合唱を続けてきた私にとって、
それが本番直前に私がお伝えできる、大切に想う唯一のことでした。
音大をご卒業され何十年も合唱を続けられている、大先輩ともいえる女性の方が
「先生の言葉を聴いて、歌を聴いて、私はそう歌おうと思いました。」
そう言葉をかけて下さいました。
拙い私の言葉に耳を傾けて下さった皆さま、本当にありがとうございました。
リハーサルにて♪ 合唱内、左の緑のワンピースを着ているのが私です。
オーケストラや合唱団とのリハーサルが終わったのち、
私のソロリハーサルとなりました。
オーケストラのメンバー、今回は「若い芽のジュニア」♪
名前の通り、本当に若い芽の素晴らしい才能が芽吹く前の
高校生までの後輩達が演奏する素晴らしいオーケストラです。
小さなお子様たちも、一生懸命練習していて、
オーケストラの中でしっかりそれぞれの役目を果たしてくれていました。
ブラーヴィ♪ブラーヴィ♪
コンサートマスターは橘麻衣さん。高校生なのに、責任感の強い彼女。
ヴィヴァルディの「グローリア」という合唱曲での、
私のソロアリア ”Domine Deus” では、
ヴァイオリンソロ、チェロソロ、ピアノ(チェンバロ)でのアンサンブルが
併奏して下さいます。
チェロのソリストは中田鉄平さんで、お手伝いとしてご出演されたプロの方でした☆
ヴァイオリンソロは、橘麻衣さんが演奏してくれました。
シンプルでとても美しいメロディーが続いていくため、
私自身も含め、どうしてもロマンチックになってテンポが遅くなりがちな
この曲ですが、彼女はさすが!!
本番では私が困らずに幸せな声で歌えるテンポで、美しくしっかり弾いてくれました。
ラター作曲: "The Lord bless you and keep you" を演奏中♪
本番前日のリハーサルが終わると、地元の方が会場で懇親会を開いて下さいました。
それが、とっても楽しかった!
ソリストのお仕事で舞台で演奏させていただく時には、常にソリストとして存在している私。
お仕事なので当然なのですが、時に寂しくなったりもします。笑
けれど今回の懇親会は、和気あいあいとしたとっても楽しい雰囲気で、
地元の合唱団の皆様の歌や、東京・埼玉の合唱団がそれぞれ演奏を披露したり、
私も「おもちゃの交響曲」を一緒に手作り楽器で演奏させていただきました♪
私が手に取った楽器、ナント、マエストロのお坊ちゃん"しょうごくん"が作った楽器でした。
優しさに溢れたとにかく可愛いやんちゃな二人のマエストロのお坊ちゃま二人♪
荷物をもってくれた"りゅうとくん"、私に色々教えてくれた"しょうごくん"。
写真を撮れなかったのが残念ですが、公演が終わって帰り際、
坊や二人に手を振らなくてはならないのがとても寂しかった私です。。。本当に。笑
じゃんけん大会では、幸運なことに、十日町市特産の"へぎそば"が当たりました☆
海藻をお蕎麦のつなぎに使ったのもで、独特の風味がありました。
嬉しいサプライズ、じゃんけんが弱い弱い私ですが、
十日町市は私にとってラッキープレイスのようです♪本当にありがとうございました。
本番当日 ... 朝からのG.P.、そして14時からのコンサート。
若い芽のジュニアの子ども達の中でも小さなお子様がホールロビーで
演奏されたのちに本番は始まりました。
本番第一部は、私のソロコンサート。
今回は、"Amazing grace" のア カペラから始まり、
ピアノやトラッペットのお二人と共に10曲を演奏させていただきました☆
"Amazing grace″ は、暗い中、舞台袖から歌声と共に私が歩いて登場する演出♪
Amazing grace ・・・ 神様からの奇跡に感謝して ・・・
ヘンデル「ラルゴ ~愛しい木陰で~」を石井憲一さんのトランペットソロと、
ピアニスト原恵子さんのピアノでのコラボレーション♪
ラルゴの悠々とした響きに、トランペットの音色がピッタリ!
ラルゴを素敵なアレンジで演奏させていただけて幸せでした。
続いては2曲、リクエストもいただいたロシア歌曲を♪
私のテーマ曲「風ではない、高みから舞う風のように / リムスキー=コルサコフ」
そして「私はあなたを愛した / キュイ」 を演奏させていただきました。
続いてはカッチー二「Ave Maria」 ・・・
よく演奏させていただく曲ですが、いつもとは一味違う、ソプラノらしい高音を使った
アレンジで演奏させていただきました。
続きまして、日本の歌♪ 今回の日本の歌は「七つの子」
「ひらいたひらいた」を素敵な編曲で演奏させていただきました。
わらべうた、懐かしさもあり、けれど歌う度に新たな面白さも発見できて、
とても新鮮でした。「わらべうた」、これからももっと挑戦していきたいと思います♪
「浜辺の歌」を終え、
ミュージカル<マイ・フェア・レディー>よりトランペットソロ“君住む街角”
そして、"踊り明かそう" を続けて♪
今回の演出では、トランペットの石井さんも、私も、舞台からではない場所から
登場する演出で、お客様は楽しんでくださったようでした♪
石井さんは赤い粋なシャツに着替えられての登場!
私は、舞台袖より登場し、そのまま舞台に座ったり踊ったり
映画のワンシーンのイメージで演奏させていただきました。
もちろん、舞台上にはピアニストの原恵子さんとトランペットの石井さんが
"踊り明かそう"の雰囲気をしっかり盛り上げていてくださいました♪
写真にはお二人が写っていないので、とても残念ですね。
ピアニストの原恵子さん&曲に合わせて演技&踊る私♪
All photos by TatsuoKiryu
長くなりましたが、こんなに激しく演奏したのちに、
第2部、合唱団の皆さまの演奏のソリストを務めさせていただきました。
合唱の皆さんの歌声に包まれて、穏やかな気持ちで演奏に臨ませていただいた私☆
重なり合う響きとは、どうしてこんなに美しいものを生むのでしょう。
合唱団のソリストとして舞台に佇んで合唱オーラを感じているとき、
それは私が舞台の上で心から幸せを感じる瞬間のひとつです。
合唱のプログラムには、モーツァルト「Ave Verum Corpus」や
バッハ「主よ、人の望みの喜びよ」の演奏もありました。私も大好きな曲です。
マエストロ:久保田洋先生は、この曲をとても大切にされているようで、
合唱団への指導にも熱が入っていらっしゃいました。確かにとてもとても難しい曲ですね。
ハーモニーが全てを語っているような音楽です。でも不思議☆ミ
本番では久保田先生マジックがかかり、心がひとつになったような響きを感じました。
私にとっては1年ぶりの宗教曲、コンサート直前になって、
宗教曲を歌いやすいとてもいい場所、コツを掴みました♪
宗教曲、これからも勉強していきます☆
最後、ヘンデル「メサイヤ」より"ハレルヤ"、 アンコールの「赤とんぼ」「ふるさと」は、
ソリストのドレスのまま、合唱の皆さまの中に入って演奏しました。
赤とんぼでは、1曲をソロで演奏させていただきました。
故郷では、心が震えました。
全てのコンサートが終わると、ナント、さらなるサプライズをいただきました。
十日町市の皆さまより指揮者の先生やソリストに十日町で造っているお酒
「純米吟醸:松乃井」のプレゼントをいただきました。
地元の素晴らしいお土産に、感動してしまいました。
もちろんこの美味しいお酒は、私から父へのプレゼントとなりました♪笑
合唱、歌う、ハモる ・・・。
ドレスを着て合唱を歌う自分、それは初めての経験だったのですが、
ソリストであり、歌うことが好きな私がいました。
ここで私は思い出しました。 自分がどれほど歌うことを愛しているかを。
私は自分が病気の時、歌に音楽に救われました。
「歌を愛し、歌に救われ、歌と共に生きる」
家族のような存在である歌、音楽に、再び多くのプレゼントをもらった私でした。
大学でたての私にソリストデビューをさせて下さった久保田洋先生、
今回のコンサートで様々な面からサポートをして下さった久保田郁子さん、
新潟で出会った皆さま、東京都・埼玉県からご参加された合唱団の皆さま、
スタッフの皆さま、 ピアニストの原恵子さん、トランペットの石井憲一さん、
会場にお集りくださり、最後まで演奏をお聴きくださったお客様、
何より、皆さまとの出会いをくれた音楽に、
心からの感謝をこめまして♪
そして、またいつか、新潟県十日町市の皆様に再開できることを願って☆ミ
Soprano♪中村初恵
(2009年08月18日) | Twitterでつぶやく |
コメント一覧
お誕生日おめでとうございます!!
素晴らしいコンサートの様子がとてもよく伝わってきます。
>「人の心を動かす音楽は、上手か下手か、ではなく、何を語りかけるかだ」
初恵さんとお会いしてから、常に感じていたことです。
自分の演奏もそれ以来、明らかに変わってきたような気がします。
少しでも、初恵さんの高みに近づくことを目指してがんばります。
ようこそ日本海側へ♪
十日町でも私たちをHa-nyaさんワールドへ引き込んでましたね☆
ソロ、合唱ソロ、合唱団とそれぞれ違った役割で「歌」を聴けて、とても贅沢な時間でした。
新潟の田んぼの緑や山の深みへ初惠さん歌が自然と溶けていくような、不思議で優しい世界を感じましたよ☆
ご成功おめでとうございます!
ところで…Ha-nyaワールドに引き込まれたのは私たち観客だけでなく、きっと合唱団の方たちもですね。
開演前少し地元の方とお話しする機会があったのですが、
「初惠さんの歌っているときの表情がとっても豊かで素敵ね~。」との話でとても盛り上がってしまいました。
未来中年さま♪
いつも暖かいコメントをありがとうございます。
未来中年さんは、音楽との仲間歴、私よりも先輩ですね。
「何を語りかけるか」はとても大切だと思っています。
でも、自分への言い訳にならない様に気をつけなくては!と
自分に言い聴かせている私です(^-^;
また未来中年さんの演奏を拝聴できるのも
楽しみにしています。
おんがくすきーさん☆
コンサートにお出で下さいまして、
本当にありがとうございました。
新潟県十日町市の皆様の温かさ、心にじーんと響きました。
「歌が自然に溶け合ったような」・・・嬉しいお言葉を
ありがとうございます。
なにしろ私たち自身が自然の一部なのですものね!
自然に溶け合う、空気に響き、宇宙に響き渡る ・・・
そんな音楽を目指してガンバリマス!