1st.リサイタルコンサート便り♪
12月19日(金)、青空が広がる晴天。
港にきらめくイルミネーションに囲まれて、1st.リサイタルを開催していただきました。
足をお運びくださった皆さま、応援して下さった皆さま、本当にありがとうございました。
私にとって初めてのリサイタルは、
300人近いお客様に恵まれ、無事に終えることができました。
タイトルは『 歌-祈り/リムスキー=コルサコフ没後100年にちなんで 』
photo:Fujimura
私にとって初めてのリサイタル。
そう、どんなことでも、どんな人にも、全ての出来事に「初めて」がありますね。
両親との出会いでさえも、「初めて」があったのですから♪
photo: Tatsuo Kiryu
今回のリサイタル、それは私にとって、言葉にするのがとても難しいほどの体験で、
言葉では言い尽くせないくらいの感謝を感じています。
応援して下さった方々、個人協賛をして下さった方々、
実りあるリサイタルになるためにご支援・ご指導して下さった皆さま、
そして、私が小学生の時に音楽を教えて下さった先生や、
中学高校時代から闘病していた私を支えて下さった先生、友人、
私が出会い私に何かを教えてくれた人々... 亡くなった同級生、祖父。。。
書くとキリがありませんが、本当に感謝の気持ちでいっぱい。
・・・何を書いたらいいか、悩んでしまうほどなのです☆
Photo:Fujimura @After the concert
さて!! ついつい浸りモードになってしまいますが...
記念すべき(したい)1st.リサイタルでピアノを演奏してくださったのは、
1年間一緒に演奏し曲を温め続けてきた、木戸俊輔さんでした♪
photo:Fujimura @ Rehearsal with Shunsuke Kido
私はまだ成長も勉強も必要な若手。勉強したいことは山ほどあり、
同じ年代の同じピアニストで1年間演奏することに最初は少し不安も感じました。
けれども木戸さんは積極的に音楽づくりをして下さり、
私は色々なことを学ばせていただきました。
1年間も二人だけの空間で音楽づくりをしていると、たまには煮詰まることもありました。
けれどそれがまた、「人と人が何かを造り上げる」その醍醐味のような気がして、
私にとって大切な時間のひとつとなっていきました。
演奏の最後まで音楽マジックをかけて下さったピアニスト、木戸俊輔くんに感謝です♪
photo:Fujimura
・・・本番中の緊張は、なかなかハードなものでした!
舞台にはある程度の免疫があるはずなのに(>0<)
私とピアニストで作る舞台、その舞台を感じてお客様が作って下さる客席の空気☆
コンサート前半の歌曲では、内容も深く、大きな緊張感がありました。
Photo:Fujimura @the concert!
リムスキー=コルサコフ没後100年の2008年に、
ロシア歌曲をこのような機会に恵まれて演奏できたこと、
それは私にとって、特別な意味があります。
国際リムスキー=コルサコフオペラコンクールでの受賞、
リムスキーのお孫さんであるタチアナさん(ご健在当時)との出会い、
そして、あの時代を生き抜いた人々が生み出した音楽との出会い...
私の1st.リサイタルは、やっぱり2008年リムスキー=コルサコフ!!
そして、私がかつて学んだマリインスキー劇場で、
沢山の初演や指揮をしたラフマニノフの歌曲を選曲しました。
歌曲では、リムスキーコルサコフ作曲「妖精~海の精~」の日本初演に挑戦。
ロシア歌曲の詩は独自に訳しましたが、この妖精、内容から考えれば「人魚」
という言葉のほうが適しているかも知れません。でも、詩と音楽があまりに美しい☆
そのため、魔の伝説である「セイレン/人魚」ではなく、
今回は「妖精~海の精~」と訳しました。本当にまばゆい光のような美しい曲なので
ぜひ今回お聴きいただけなかった皆さまも、一度聴いてみて下さいね♪
歌曲で忘れてはならないのは、詩。今回は、音楽だけでなく、歌曲となって輝いている
美しい詩を大切にしたいと感じ、ロシアの代表的な作家・詩人を選んで演奏しました。
多くの先生方が訳されている詩を、その先生方がご覧下さるプログラムに
私自身の言葉で訳し掲載するのはとても勇気と度胸が要りました...♪
photo:Fujimura The program and Yokohama harbor
そして、あまり演奏されることのないラフマニノフ作曲の歌劇
「フランチェスカ・ダ・リミニ」のフランチェスカのアリアにも挑戦しました。
「フランチェスカ・ダ・リミニ」という題材では、数人の作曲家が曲を作っています。
これは、ダンテの代表する作品、抒情詩『神曲』の登場人物を元に描かれました。
地獄篇、煉獄篇、天国篇の三部構成から成る『神曲』。
ダンテ自身が生身のまま彼岸の世界を遍歴して巡る、地獄・煉獄・天国の三界。
なかなか演奏されることのないラフマニノフの「フランチェスカ・ダ・リミニ」にも
ラフマニノフらしさを感じさせる音楽や響きが溢れています。
ロシアの音楽以外にも、ドイツ音楽も、フランス音楽もイタリア音楽も、
もちろん大好きな音楽、いつか演奏したい音楽は私にもたくさんあります。
けれど、ロシア音楽にも素敵な音楽がたくさんあります。
ロシアという国というよりは、ロシアの人々のことが日本ではあまり知られにくく、
特にロシア歌曲って、日本では民謡以外とても馴染みが薄い。。けれど、
実は現代人の感覚に近い音楽だと感じています。
実際に、初めてロシア歌曲を聴かれたお客様からも、
なかなか多くの反響をいただいているのです♪
こんなに美しくて心に響く歌曲があるのに、本当にもったいない!!...
たくさんの方とのご縁やたくさんのことを学ばせてくれた
“まだまだ日本ではマイナーと呼ばれるロシア歌曲”に、
恩返しがしたいなぁ・・・、ナンテ勝手に感じているのでした♪
Photo:Fujimura
そして、リサイタルのテーマである『歌‐祈り』 ... 意味があるようなないような...
このタイトルのお話を少しだけしたいと思います♪
これは、私がロシアに滞在するもっと前からずっと考えていたテーマでした。
「歌って、祈りに近いよね」 ... 歌う度にそう感じていました。
教会音楽、宗教曲、これは本当に祈りそのものですが、
もっと古い時代から人々がリズムにのって語るとき、
そして、動物の求愛や、人が愛の言葉を語るとき、
それは、様々な場面での祈りのシーンであるような気がします。
「何かのお祭りで歌う」・・・ これもやはり祈り☆
今年の豊作を祝って歌う祭りでも、その喜びや感謝が神様に伝わり、
次への幸せ、希望へ繋がりますように、との祈りだったと感じます。
心から湧き上がる幸せへの祈り、愛への祈り
・・・もし「歌」がバナナだったら・・・皮を剥いたら「祈り」が残る。笑
私は歌の一番奥の中心にある姿は、祈りだと想ってしまうのです。
photo:Fujimura christmas tree@Minato-mirai
当り前のことを長々と書いてしまっていますが、
私は、自分が歌うとき、喜びも悲しみも、
全ての音楽でお祈りしたいと願っています。
「歌‐祈り」 イコールではない二つですが、
その二つが言霊のように響きとなって重なり、
空間に広がっていけばいいな、そんな風に思っていました。
そして、今のこの時代に生まれ、生きている私たち全ての人が
争うことなく生きることができたら ...
そこで今回のリサイタルのテーマは「歌‐祈り」★ミ
けれど、歌で心を伝えるって、難しい!!
自分自身が真剣に祈れば祈るほど、想いが熱いほど、
歌で皆さまに伝えられないんです;苦笑
「自分はあくまでも音楽の通り道、祈りの通り道でなければならない。
音楽が伝えてくれるのだから」 ・・・ そう、それは解っていても、ムズカシイ!!
つい自分自身の想いが勝ってしまうことがある。
その難しさはまだまだ克服できませんが、
これからも精進して、そんな歌を聴いていただけるようになれたらいいな、
と感じています。
photo:Fujimura
時につまらないとさえ感じてしまう毎日も、
じつは毎日新しい景色が広がっているように感じます。
でも、それに気づかず過ごしている自分にふと気付きます。
「いつも初めての気持ちで」
いつも誰かと、何かと、こんな気持ちで触れていけたら、
いっぱいの驚きや笑顔を感じられるかも!
なにより自分自身へのプレゼントになるかも知れませんよね♪
1st.リサイタルは2008年12月19日の夜に終わりました。
これからは1st. リサイタルだから... なんて言い訳は通用しませんね。
心身共にもっと磨いて、これからも新しい気持ちで音楽と向き合い、
演奏していけたらと思っています。
次回のリサイタルもどうぞお楽しみに!
成長した(するはず!!)私の演奏をまた聴きにいらして下さいね♪
私や私の音楽を育てて下さった先生方、
何年も前からリサイタルに向けて応援して下さったファンや事務局の皆さま
個人協賛として応援してくださった皆さま、日立建機の石井壮之介さん
ボジョレーヌーボのパーティーで私を応援して下さった皆さま、
暖かいボルシチを作って下ったハーバーズカフェの美波店長、
株式会社ITCAの桐生幸子社長、
対外文化協会藤井弘さん、 ロシア大使館のガムザさん
そして、今回のリサイタルでとても素敵な写真を真剣に撮影して下さった藤村さん、
コンサートにおいで下さったお客さま、お手伝いをして下さったみんな
応援して下さった全ての方々に、心から感謝申し上げます。
今後とも皆さまの暖かいご支援、ご指導をどうぞよろしくお願いいたします。
~programは下をご覧ください♪~ Soprano♪中村初惠
<事務局スタッフ・フロレスタン佐藤さん・応援者の3人方・出演者2人@楽屋打ち上げ>
< 中央下黄色の服・私 / 中央下・木戸俊輔くん >
~ Program ~ * 詳細をご希望の方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
Ⅰ. リムスキー=コルサコフが描いた夢
1. 風ではない、高みから舞う風のように
2. 夜鶯はバラに魅せられ
3. 妖精 ~海の精~
4. 雲雀の歌は高らかに
Ⅱ. ラフマニノフが描いた哀しみと幸福
1. 私は哀しみの中にいることを、愛した...
2. 歌うな、美しい人よ、私の前で
3. 夢
4. ここは素晴らしい
Ⅲ. 悲しくなったときも
1. お菓子と娘 / 橋本國彦
2. 悲しくなったときは / 中田喜直
3. くちなし / 高田三郎
Ⅳ. オペラアリア ~愛と祈りに溢れて~
1. “泣かないで、私のパオロ” 歌劇「フランチェスカ・ダ・リミニ」より
ラフマニノフ作曲
2. ピアノソロ 「カヴァレリア ルスティカーナ」より間奏曲
マスカー二作曲
3. “私の愛しいお父様” 歌劇「ジャンニ・スキッキ」より
プッチーニ作曲
4. “私が街を歩くとき” 歌劇「ボエーム」より
プッチーニ作曲
5. “お友達と野いちごを摘みに” 歌劇「雪娘」より
リムスキー=コルサコフ作曲
★ アンコール ★
・ “Think of me” ミュージカル「オペラ座の怪人」より
・ Ave Maria カッチー二作曲
・ 聖しこの夜 ~賛美歌~
(2009年01月20日) | Twitterでつぶやく |
コメント一覧
初惠さん
1stリサイタルご成功本当におめでとうございます。
それから、リサイタル実現までご尽力いただいた皆様。
素晴らしい伴奏の木戸さん。
本当におめでとうございます。
私も初惠さんの素晴らしい演奏を、そして普段は滅多に生で聴くことの出来な
いロシア歌曲をこんな立派な舞台で聞くことが出来まして、目頭が熱くなって
周りを気にしながら聴いていました。
私ももっともっと、お役に立ちたかったのですが、当日足を運ぶのがやっとでした。
ところで、今回の演奏会ではリムスキーコルサコフの初演をされましたね。
私は常々、
「初めて接するものは本物でなければならない」
と感じていたのですが、
今回この初演曲を初惠さんの演奏で聴くことが出来たのは何よりも幸せな体験
でした。
非常に美しい曲で、このような曲がまだ日本で演奏されたことがなかったなんて。。
まだまだ、ロシア歌曲は深い宝の泉なんでしょうね。
これからも、もっともっと初惠さんの演奏でお聞きすることが出来たらと心から思います。
伴奏の木戸さん。
本当に素晴らしいピアニストで、美しい音色、流れる音楽に全く魅了されました。
初惠さんの演奏と一体化してまさに
”高みから舞う風のように”
素晴らしい演奏でした。
(ちょっと意味不明ですが、とにかく素晴らしい演奏でした!)
初惠さんはロシア歌曲だけではなく、日本歌曲も素晴らしいクオリティで演奏されますね。
私は初惠さんの演奏がさらに広く認められ、演奏の機会があることを心から祈ります。
Наночкаさま☆
こんにちは、Наночкаさん☆
私のミスで、せっかくいただいていたコメントの掲載、
ご返信が遅れてしまって、本当にごめんなさい。
Наночкаさまのコメントを拝見して、
本当に嬉しく、あの日のことがまるで昨日のことのように
蘇ってきました。
Наночкаさまがどなたかは、私は推察することしかできませんが、リムスキー=コルサコフがお好きなのだなぁ、と嬉しく拝見させていただきました。
私と木戸さんが演奏した初演曲を気に入って下さったこと、
本当に幸せです。
6月に出演するロシアフェスティバルをはじめ、今後とも精進してまいりますので、ぜひまた遊びにおいで下さい☆
お目にかかれることを楽しみにしています♪
リムスキーコルサコフの1曲目「高みから~ 」の作品番号 お解りでしたら教えてください。
「風ではない、高みから舞う風のように」
(ロシア語翻訳)の作品番号は、
OP.43-2 です。
素敵な曲ですので、演奏される方が増えてくれれば幸せです☆