中村初惠スプリングコンサート in ラリール
いよいよ、春...♪春風が薫る3月、木々が芽吹き、花々が美しく彩る季節となりましたね。
春の雨降る3月14日(金)の夜、『スプリングコンサート』で演奏させて頂きました♪
12月19日(木)へのファーストリサイタルに向け、シリーズ第3弾となったこのコンサート☆
当日は激しい雨にも関わらず、会場はお客様で満員となりました。
皆様の応援に支えられ、春のような温かいコンサートで演奏させて頂いたことを
とても幸せに感じています。
今回は、アンサンブル2回目となったピアニスト:木戸俊輔くん、
ゲストとしてバリトン:隠岐速人さんをお招きし、前半に日本歌曲、後半にロシア歌曲、
そしてモーツァルトのオペラよりアリアやデュエットによるプログラムとなりました♪
photo:Takenami Akira
(終演後に今月お誕生日の方々へ“HappyBirthday!!”の演奏プレゼント)
春の詩による日本歌曲、また、悲しくなったときは(作曲:中田喜直 作詩:寺山修司)など、
初めての曲にも挑戦し、自分の生まれ育った国の言葉、音楽の美しさを
改めて感じる素晴らしい機会をいただきました。
初めて演奏させていただいた曲の中で、
大好きになってしまったのが、作曲:橋本国彦/作詩:西条八十 「お菓子と娘」♪♪♪
ウィーン、ロサンゼルスなどで学び、バレエ音楽や多くの歌曲を遺し、
早くも40代にしてこの世を去った素晴らしい作曲家、橋本国彦。
「お菓子と娘」では、私は初めて橋本国彦さんの世界に触れることができました。
「お菓子が大っ好きなパリ娘」を描いた歌曲は、華やかでコミカルな歌詞とメロディーと
ピアノで奏でられます。まるで短編の劇をみているかのような曲でした。
キラキラと眩しいような可愛らしいこの曲に、思わずワクワクしながら演奏させて頂きました。
photo:Takenami Akira
そして、「ひなの日は」♪作曲:中田喜直 作詞:堀内幸枝
言葉が古典的でとても美しく、日本の赴きに溢れる詩と音楽は、
歌えば歌うほどに楽しく、素敵な曲でした☆
「悲しくなったときは」♪作曲:中田喜直 作詞:寺山修司も初挑戦の演奏でしたが、
お客様から、「涙がでました」とのお声も頂いて、とても光栄でした。
「悲しくなったときは海を見にゆく・・・。独りぼっちの夜も海をみにゆく...」
* * * * *
今年の12月のリサイタルは、私にとってロシア歌曲プログラムでの
ファーストリサイタルとなる予定なのですが、リムスキー=コルサコフ没後100年という、
意味のある一年でもあります。
今回のコンサートシリーズ第3弾では、私のテーマ曲でもある
リムスキー=コルサコフ作曲の『風ではない、高みから舞う風のように』、を
全プログラムの一番目に演奏し、アンコールもリムスキ-作曲のオペラアリアで終演。
リムスキ-=コルサコフへの感謝と敬意を表したプログラムにしてみました☆
前回に引き続き、今回も大活躍、そして一緒に音楽作りをして下さった木戸俊輔くん。
歌曲では、彼の繊細な音色がガラス細工の様に、時にダイナミックに響いていました。
いくつかの曲では、ピアノと私の歌が重なり、未熟ながらも音楽が編み出され、
紡ぎだされた瞬間に出会うことができたよう感じました☆木戸俊輔くんに心から感謝です。
それにしても、歌曲はナンテ奥が深いのでしょう。。。
本や詩は、読む年代や時代、自分自身の心によって感じ方が変わりますが、
やはり音楽も詩も、私の心や経験と共に微妙に変化していきます。
同じ曲を10年後、20年後に演奏したなら、その音楽はどうなっているだろう・・・
その時私は、どんな風に演奏できるのだろう・・・
こんな風に想いを巡らせ、心豊かに生きていかなくてはなぁ、と考えさせられた私です☆
今回、プログラム第2部の前半にロシア音楽を5曲演奏させていただきました。
一曲目には、グリンカという作曲家が書いた『私は憶えている、あの美しい瞬間を』。
「愛する人、愛に出逢い、人生や魂、忘れかけていた涙さえも甦った... 」
そう歌っている音楽も詩も美しい、ロシアではとてもポピュラーな曲です。
簡単な音から成るため、思わず無造作に弾いてしまいそうなピアノの初めの4小節。
実はこの4小節こそが、詩中の 「美の精霊のような愛しい人」
が舞い降りたことを告げています。また、この曲は「愛の再来」を詠ったもので、
最初の4小節で舞い降りた「愛しい人」は、ラストの4小節でも再び描かれています。
ピアノの美しい音色によってこの主題が表現された時、
まるで情景が見えるかのような、慈しみに満ちた音楽となります。
... 「 レミ レ シファ(♯)ソシ レ ド 」 ...
これだけの音で「美の精霊」を舞い降りさせたグリンカは、
ナント天才なのだろう!! と、歌う度にため息が漏れてしまいます。
この曲は、ロシアの英雄詩人アレクサンドル・プーシキンの詩を歌曲にしたもので、
その詩は韻を踏んでおり、とても美しく書かれています。
(プーシキンが学んだエカテリーナ宮殿にて)
今回、ロシア歌曲は全て私自身が詩を訳させていただきましたが、
韻を踏んでいる言葉の美しさを日本語に置き換えることはとても難しく、
言葉の選び方にとても頭を悩ませました。
詩を訳すときに、私自身が大切にしたいと想うこと、それは、わかり易く美しい言葉で、
同時に「書いた詩人や作曲家、その土地の心を伝えられる様に」ということ。
ロシア語は言葉の量も格変化も多く、発音もとても難しいと言われています。
彼らの描く詩や音楽は、時に非常に情熱的で表現も激しく、
時に哲学的、そして断定的な強さを持つように感じます。
反面、時に音楽と共に、その言葉はとても柔らかく繊細に変わり、その表現は、
雄大な大地や、冬の厳しさ、春の美しさ、自然の厳しさと恵み、歴史や政治への感情など、
状況や背景によって、繊細に変化します。
(当時の皇族がお散歩中に休んだベンチ in “夏の宮殿”) (雪のモイカ川沿いの橋)
きっとどの国の言葉も同じだと思いますが、
「自分が演奏する歌の詩を、どうしたら美しく真っ直ぐに届けられるのかしら」
...そう思うほどに、自分で詩を訳したい・・・ そんな無謀な想いに駆られ、
辞書を何冊も開き、歴史や作曲家の背景を勉強しててしまうのです。苦笑ですね♪
私はこれまでに様々なロシア歌曲を勉強し、僅かながら演奏して参りましたが、
中でも大好きな曲のナンバー5に入るほどお気に入りの曲
それは、 ラフマニノフ作曲 『リラの花』 。
優しさに溢れた、親しみやすいメロディーで、
お客様からも「とても好きになりました」とのお声をよくいただきます。
ピアノが奏でる初めの2小節は、詩の風景を絵画にしたかのような優しく美しい響き。
それはまるで、朝靄に囲まれ、朝露に濡れた草の中をゆっくり歩いている・・・
その情景が感じられる様です。
美しいピアノに続いて入る歌は、自分自身のことを語っています。
歌の旋律や詩と共に奏で続けられる 風景画のようなピアノ。
演奏していると、ピアノが奏でるその風景の中を、私(=歌)が歩いているような、
柔らかい光に包まれているかの様な気持ちになります。
明日の朝、私は朝つゆの中、清々しい朝の空気を感じるだろう。
香しいリラの花咲く木陰で、私はささやかな幸せを探すのだ。
そう、私の幸福はリラの花に宿っているのだから... (抜粋)
リムスキー=コルサコフ作曲「雲雀(ひばり)の歌声は高らかに」。
これは、とっても明るくて前向きな春の曲。
「雲雀の歌は高らかに、春の花は鮮やかに、霊感に満ち空は美しく輝く!...」
ドラマチックで華やか、とても素敵な曲なのですが、
ピアノと歌のハーモニーの難しさもなかなかのもの!!
けれどもコンサート当日は...、
リムスキ-=コルサコフが天から魔法をかけてくれたのか(勝手にそう願いたい!!)、
呼吸がピタッと、成功!! 私も木戸くんも、楽屋で大喜びしてしまいました☆
photo:Akira Takenami
今回のオペラコーナーではモーツァルトを演奏。
最近、モーツァルトの魅力を再確認している私ですが、今回はゲストの隠岐速人さんと、
デュエットやアリアを演奏させていただきました。
「フィガロの結婚」よりスザンナとフィガロのデュエット
隠岐さん扮するフィガロ「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」
私扮するスザンナより「とうとう喜びの時が来た」
ドン・ジョヴァンニより伯爵とツェルリーナのデュエット「お手をどうぞ」
「フィガロの結婚」は大好きなオペラ!3月1日に続いて“モーツァルト月”となりました。
ゲストの隠岐速人さんは、芸大をご卒業されてイタリアオペラが得意のバリトン歌手。
柔らかく素敵なお声をお持ちの隠岐さん♪ また共演する日を楽しみにしたいと思います!
スザンナのアリア「とうとうその時が来た」は、「バラのアリア」とも呼ばれていて、
今回私は、バラのお花を一輪持って演奏しました。
photo:Akira Takenami
(終演後、ワインタイムにて皆様とのひととき♪)
アンコール曲は...「千の風になって」
(初めて演奏させて頂きましたが、Sotto voceで歌いたくなる心に染み入る歌でした。)
リムスキー=コルサコフのオペラ「雪娘」より“お友達と野いちごを摘みに”
の2曲♪ 雪娘は「フジテレビ=ハピふる」の“東京歩き”のコーナーで
演奏が流れたとっても面白くて可愛らしい曲。
プロデュースをして下さる佐藤さんのご厚意で、
コンサートのプログラムのほとんどを、自分自身で選曲させていただいています☆
今回、「死への悲しみ」が少しでも減ることを願い
「千の風になって」 をアンコールで演奏しました。
最近も、世界で起きている悲しいニュースをよく耳にします。
そんな時、どうしたら人と人の心が通い、理解しあえるのかと、
未熟な私なりに色々考えてみたりします。
日常でさえも難しいことなのに、私にその答えが簡単にでるはずもありませんが、
音楽に支えられながら、心の中の祈りだけは忘れずに演奏していきたいと、
自分自身に願っています。
同じ願いをもって日々を送られている方、ご活動されている方が
私の周りにもたくさんいらっしゃることを、改めて感じ、学ばせて頂いています。
私など比べものにならないような、様々なご経験の中で人生を歩まれてきた方々に
応援していただけること、接する機会をいただけることを、心から感謝しています。
今回のコンサートでお客様から頂いた時間や空間は、本当に素晴らしいものでした。
3月14日のコンサートは、私にとって忘れ難いものとなりそうです♪
演奏会のプロデュースと共に温かく応援して下さっている「フロレスタン」の佐藤浩士さん、
リサイタル事務局で支えて下さっている舩渡正展さん、桐生達夫さん、桐生幸子社長、
一緒に音楽つくりをして下さった木戸俊輔くん、ゲストの隠岐速人さん、
いつも支えて下さっている応援者の皆様に心からの感謝をこめまして♪
温かな春となりますように♪ Soprano♪中村初惠
(2008年03月23日) | Twitterでつぶやく |
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